【本の紹介】『リーン・スタートアップ』

今回はビジネス書です。

エリック・リース 『リーン・スタートアップ』井口耕二訳、日経BP社、2012年

著者はベンチャー企業立ち上げから成功に導いた経験のある人で、その経験の中で得た知識をもとに講演やコンサルを行っています。

本書は、リーン生産方式を活用して企業のスタートアップを生き抜き成長させるにはどうしたらいいかという内容です。リーン生産方式というのは、すなわちトヨタ生産方式のことです。有名なのがアンドンとカンバン方式です。トヨタ生産方式というのは、大量生産によるコスト削減、要はフォード生産システムのことですが、その効率的ではない部分を改良して編み出されたものです。

で、それが何かというのを書き始めたのですが、ものすごく長文になってしまったので詳細は割愛します。。。

さて、本書で重要なポイントとなっているのは、バッチサイズです。つまり、何にしても小さいサイズから始めて、都度修正を重ねていくやり方を採用すべきだということです。

大きいことから始める、しかも全ての条件を整えたうえで始めるというのは、ベンチャーにしても大企業にしてもリスクが大きい。しかも、現代は不確実性にあふれ、ちょっと先は今ある技術が完全に陳腐化してしまっているという可能性も否定できません。そんな状況の中、要件定義に3ヶ月、開発に8ヶ月かけた商品が売れるのかどうか?だったら、バッチサイズは小さくしなきゃいけないという主張です。

たまたま今年度の私の担当する業務の方針として「小出しに仕掛けていく」というのを打ち出しております。この方針自体は昨年末から今年の頭にかけて策定したもので、この本が4月に出てますから、ちょうどタイムリーな話題だったということもあり買ってみたのですが、正直、これは買って正解でした。

もともとトヨタ生産方式の本は10冊近く持ってますので、無意識のうちに上記の選択になったのかもしれませんが、あらためて「小ロット」(トヨタ生産方式生みの親ともいわれる大野耐一氏の著書『トヨタ生産方式』内での表現)の大切さを感じた次第です。

巻末のオススメ本のうちの3分の1くらいを読んだことありますので、非常に入りやすかったということもありますが、五つ星評価とします。

評価:★




あわせて関連本として次を挙げておきます。さきほどちょっと読み返してみましたが、忘れかけていたヒントがあふれています。古い本ですが、大きい書店では必ず見かけますので、購入をオススメします(特に管理者)。


大野耐一 『トヨタ生産方式 ー脱規模の経営を目指してー』ダイヤモンド社、1978年

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