本の紹介『約束の日 安倍晋三試論』

タイムリーな話題です。そして初のKindle版の日本語書籍購入です。

小川榮太郞 『約束の日 安倍晋三試論』 幻冬舎、2012年

先日の衆議院議員選挙の結果はご存じだと思いますが、本書はその前に書かれた本です。この本の存在自体は発売当初から知っていたのですが、てっきり安倍さん本人が書いたものだと思ってました。著者は文藝批評、音楽批評が専門とあとがきに書いてますので、よほど安倍さんが好きなのか、または依頼されて書いたかのどちらかでしょうか。いずれにしろ、結果的に自民党が政権をとることになりそうなので、著者の願いがかなったということになるでしょう。

内容としては、かなり安倍さん支持に偏ったものと言えますが、政権交代時に安倍さんの政治的信条を垣間見ることはできたと思います。注目すべきは、あの小泉さんですら手をつけようとしなかった公務員制度改革に着手したことです。あまりにも抵抗が激しくなると予想されるため誰もが手をつけなかったようですが、安倍さんが思いきって実行に移したので各所からの抵抗を受けることになったようですね。あえて茨の道を進む、素晴らしいと思います。

しかし、とにもかくにも、安倍さんの最大の弱みは持病でありました。結局はそれで退陣したのですが、今回は大丈夫でしょうか?

さて、安倍さんへの支持とあわせて本書の中心テーマに、マスコミへの批判があります。著者によると、朝日新聞をはじめとするマスコミが前回の安倍さんの退陣を引き起こしたとのことです。そのマスコミが財政赤字を膨らませ、震災の後処理を進められず、マニュフェストも守れない民主党政権を生き永らえさせていると主張しています。マスコミによる世論の誘導はいつでもどこでも起こり得ると思いますが、それが政権の生殺与奪の権利を持ってよいはずがありません。情報が溢れている現代ですが、その中から正しい情報を選択する実力が国民の側にも求められているのだと思います。

ところで安倍さんは大胆な金融緩和を主張して、世間の耳目を集めています。本当にその主張が正しいのかどうかについていろいろ調べてみたのですが、意外に勉強になりました。ネット上の意見を少し見てみると、どうも一部の情報に頼った判断のように見えます。やはり自分の頭で考えて消化して意見にするというプロセスが必要ですね。

やや偏り気味な点でマイナスをひとつ増やしました。あと、朝日新聞好きな人はこの本読まない方がいいと思います。

評価:★★★☆☆

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