本の紹介『インフレーション宇宙論』

経済にも同じ用語がありますね。

佐藤勝彦 『インフレーション宇宙論』講談社ブルーバックス、2010年

著者の佐藤先生は、まさにこの理論を提出した学者の一人です。宇宙を説明するにあたり、いま知られている物理学の範囲ではどうしても解決できない部分が多いというのが、現代の宇宙論の弱みらしいのですが、それを一歩進めた(らしい)のがこの理論です。

インフレーションとはまさに経済学のそれから援用したらしいのですが、10のマイナス35乗秒から34乗秒の間に一気に膨張して宇宙が誕生したというのがこの理論が提示する宇宙誕生の瞬間です。この10のマイナス35乗秒とかいうのは虚数時間と言われており、実際にあるのかどうかはわからないと佐藤先生も書いてあります。しかし、この虚数を用いることでインフレーション宇宙論は説明可能になるのだそうです。

でもって、このほんの一瞬の出来事で何が起きるかというと、真空の相転移がそれです。何もない「無」から宇宙が生まれるというビッグバン理論においては、この「無」から巨大な宇宙空間を生み出す事象を物理学上の「特異点」、つまり説明不能だがそれが存在するもの、としているところに理論の弱さがあったそうです。それを解決するのが、インフレーション宇宙論が提唱した真空の相転移だそうです。これが起きると、真空という何もない状態からの逆転現象、つまりとてつもないほどのエネルギーが一気に現れて、それが火の玉のような状態を作り出し、そこから大爆発が起きて宇宙ができあがるということらしいです。

で、宇宙ができた後のことですが、宇宙の膨張には物理学上の矛盾があり、それどおりだとすると宇宙は膨張したあとに収縮するという結論になるみたいです。ただし、このインフレーション宇宙論が提示するようなほんの一瞬というには一瞬過ぎるほどの短時間で一気に膨張すると収縮は起こらないんだそうです。で、一気に膨張した後にゆっくりと膨張しているそうです。

すいません。今回は伝聞的な記述が多いのですが、初心者向けに書かれているものの、なにぶん物理学の基礎がないもんですから細かい説明ができません。なのでこんな形になってしまいました。。。しかし、興味がある方は読んで損はないと思います。

初心者向けの本をもう少し読んでみようと思いますが、その先には物理学を知らないと進まないような本が多いようなので、ちょっと心配な宇宙論初心者であります。。。

評価:★★★☆☆

コメント

このブログの人気の投稿

通信三田会からの誘い

2021年度慶應義塾大学卒業式。そして卒業について思うことと心境の変化

卒業式エピソードの続き