本の紹介『HARD THINGS』

口で言うほど簡単に、成功は手に入りません。

ベン・ホロウィッツ『HARD THINGS』[Kindle版]滑川海彦、高橋信夫 訳、日経BP社、2015年

著者は、アメリカでベンチャー・キャピタルを経営する人で、共同経営者はマーク・アンドリーセンというNetscapeを作った有名人です。著者がこれまで会社経営をしてきて起きた様々な出来事を綴った本です。

起業して成功すると、大きなリターンを得ることができます。しかし一方で、そのほとんどが失敗に終わり、成功者も激しいプレッシャーにさらされてしまうというリスクが存在します。それらについて経験者の口から語られる、非常にためになる内容です。

今のところ、私自身が起業するというプランはありませんが、いつなんどきその機会が来るか分かりませんし、通常の業務においても起業家精神についての心得があれば、よりよく物事を進めることができるかもしれません。

起業した社長の場合、その時々の判断が会社の命運を左右します。誰にも相談できず、吐き気がするまで悩んだ末に、判断が間違っていたなんてことが起きると想像するだけで、クラクラしますね。いろんな助言を得られたりしても、結局は自分が決めなければいけないという状況は、責任重大ではありますが、一方では大きなモチベーションに繋がるのかもしれません。

ちなみに、私のいまの取引先はそういう企業が多く、商談の相手がその社長だったりすることもあって、普段はニコニコしているけど、大変な苦労をしているんだろうなぁと思いをはせながら読んでしまいました。

余談ですが、著者が社員が当時のプロジェクトについて語った文章を読んで泣いたという下りがあるのです、その時の社員は私の前々職の先輩社員です。出てるとは事前に聞いていたのですが、実際にその文章を読んだときには「ほほう」と思ってしまいました。仮に私が著者と同じ立場なら、泣くでしょうね。そんな文章です。

簡単に言うと、とにかく大変だったが、プロジェクトがうまく回り始めて最後に形になったときには楽しかったという内容で、そこについては私も似たような状況にあるので、最後に笑えるように頑張るだけです。

起業するしないは別としても、ビジネスには使える内容だと思います。

評価:★★★★☆

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