本の紹介『応仁の乱』

いま売れている、あの本です。

呉座勇一 『応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱』 中公新書、2016年

本書は応仁の乱という、日本史的には地味な出来事を扱った本ですが、なぜかベストセラーです。私も最近、日本史に興味が出始めたのもあり、そのウェーブに乗ってみました。

歴史好きな人たちから地味と言われている出来事を素人が読んでも高揚感があるわけでもありませんが、改めて感じたのは11年間もよくダラダラともめ事を続けていたなというものです。関ヶ原の戦いは1日で終わり、本能寺の変から山崎の戦いで豊臣秀吉が明智光秀を倒すのも2週間かからずといったところに、11年も続いてこれといった結果がなかったということですから、まさに地味のひと言です。

ま、結局は当時の上層階級の内輪もめが大きくなり、庶民の生活にも影響を与えたという部分と、これ以降、戦国時代に入っていくということくらいが焦点となるんでしょうか。その辺はもう少し勉強が必要ですが、まずは徳川幕府の時代から勉強です。なにせそちらの方が興味があるので。

本書の特徴は、2人の僧侶が書き残した日記をもとに話を進めている点です。もちろん、それ以外の史料も使っていますが、日記をメインとしたのは僧侶、貴族、武士、民衆の生活を細かに書いているからだそうです。確かに、歴史の教科書って出来事自体にフォーカスを当てていて、細かいところまでは描写されていないと思いますが、本書のように民衆も含めた生活まで紹介しているのはいいと思います。その辺まで細かく書かれた日本の歴史に関する本を読んだのは初めてですが、これからはこのようなタイプの本も増えてくると思いますので、状況をウォッチしつつ、面白そうなものがあれば手を出してみたいと思います。

とは言え、応仁の乱をさっぱり知らなかったという個人的事情により、星はひとつ下げて3とします。歴史好きな人が読めば、別評価かもしれないことは付け加えておきます。


評価:★★★☆☆

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