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6月, 2017の投稿を表示しています

本の紹介『関ヶ原』

天下分け目の合戦です。 司馬遼太郎 『関ヶ原』[Kindle版](上)(中)(下) 新潮文庫、1974年 今まで歴史小説は読んだことがなかったのですが、息子が中学受験で歴史の勉強をしているときに一緒にやっていて、あまりに自分が歴史に詳しくないということを痛感。そこで何か読んでみようとした次第です。ちょうどそのときに豊臣秀吉あたりをやっていたので、関ヶ原の戦いを選んでみました。 選んだ理由としては、かつて上巻を読み始めていて、最初のところで止まっていたというのもありますが、徳川家康の関ヶ原の戦い以前、そしてそれ以降の大坂の陣も含めて、武士として何か惹かれるものがあり、読んでみました。 最初は描写がだらっとしているような印象もありましたが、合戦に向けて動き始めたあたりから面白くなってきました。合戦自体は下巻の半分くらいしか描写がありませんが、それまでの駆け引きなどは面白かったです。 徳川家康は老獪な戦略家、石田三成は頭は切れるが詰めが甘いといった書き方かなと思います。この辺は文献がどれだけ残されているかにかかっていると思いますが、「司馬遼太郎ワールド」は実感できました。 私自身はあまり政治的な駆け引きには興味がなく、それだから割を食うという面も否定しませんが、会社で生き残るためには多少のズルさは必要なのかなと思いました。 これからは大坂の陣を書いた『城塞』も読んでみて、総合的に評価してみたいと思います。そういった意味では、見たことのない大河ドラマではありますが、昨年の真田丸を見逃したのはやや残念ではあります。 ひとまず星4つです。 評価:★★★★☆

本の紹介『うつ病休職』

安易な診断はすべきでないという意見です。 中嶋聡 『うつ病休職』 新潮新書、2017年 別の本を買いに行ったときに近くにあったので買いました。いま見たらKindle版もあったので、そちらにしてもよかったかな。著者は現役の精神科医で、現場での体験も交えてうつ病の現状を紹介しています。 いまや、多くの会社員がメンタルヘルスで問題を抱える時代です。何が原因なのかは判然としませんが、社会学的には社会の在り方やライフスタイルの変化というところから説明できると思いますし、経済学的には経済成長の鈍化やグローバル経済の進展によるビジネス環境の変化というところからも説明できると思います。 さて、うつ病とひと言で言っても、診断には段階があるようです。最近増加しているように見えるのは、ちょっと前に基準が変わって、今までうつ病の範疇に入っていなかった状態もそれと認められるようになったからというのも一因だそうです。 最近多いのは、診断書を出して欲しいと来る患者だそうです。自分の判断で来る場合や会社からの指示で来る場合があり、前者の場合は会社を公式に休みたいからというのが大半で、後者の場合は会社の規則であったり、上司の独自の判断が多いみたいですね。 原因がハッキリしているものは「抑うつ状態」と呼ぶらしく、著者はこの段階ではうつ病の診断書は出さない方針だそうです。診断書を出さないと怒ってしまう患者も多いみたいですが、そもそも原因を解消すれば治る部類のものなので、そこを解消するようアドバイスをするそうです。医者によってはその状態でも診断書を出すことがあるらしく、そういった医者は口コミで流行っているとのこと。 普通のサラリーマンは多くのストレスを感じながら仕事をしていると思いますが、そういうときこそ上司や仲間との連携が必要でしょう。構造的にそうなってしまっているのかどうかは不明ですが、そういった連携が足りてないのかなとは日常的に感じます。 最後に評価ですが、うつ病での休職の現状は理解できましたものの、それに対する処方箋的なものを求めていたというのもあり、星3つです。 評価:★★★☆☆

ニューズレター6月号届く

ニューズレター6月号が届いております。今回は科目試験、スクーリング、テキスト電子配信サービスなどです。 科目試験は今回も受験せず、です。10月には必ず受験できるよう準備をしなければなりません。仕事や家族のことがあるとなかなか勉強に時間が回せないというのは、入学時に想定していた以上ですので、タイムマネジメントが重要です。 スクーリングは必要な単位は取った(はず)ので、スルーです。しかし、実際の教室で授業を受けるというのは非常にエキサイティングなことですので、もう完全に受けないということでもありません。 テキスト電子配信サービスはさらに充実するようですね。悲しいかな、私はほとんど取ってしまった科目が対象なので、あまり関係ないのが残念です。あと3年早く開始されていれば・・・ さて、今回はやってしまった人の紹介がありました。写真付きの学生証と照合されるわけですから、偽名なんて即バレという考えになぜならないのかが不思議です。まぁ、結婚して名前が変わったけど手続きしてなくて、なんてオチかもしれませんが、どんな内容であれ、不正で得することはありませんから、くだらんことは考えずにちゃんと受けるべきです。 それでは。

本の紹介『情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記』

気持ちだけでは到底、勝利など望むべくもありません。 堀栄三 『情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記』[Kindle版] 文藝春秋、1996年 著者は旧日本陸軍の情報参謀です。いかに日本軍は情報戦で先の大戦に敗れたか、というよくあるネタです。本人は情報参謀としていろんな経験をしており、内容としてはドキドキ感がありました。 それにしても、情報を握ることがいかに大事かというのを、改めてではありますが、痛感しました。これは現代のビジネスにおいても同じ話で、会社としてどれだけアンテナを張り巡らすことができるか、ひとりのビジネスマンとしてどれだけ情報を持つことができるかというのは重要であることは言うまでもないでしょう。 しかしこの本が他と違う(と思われる)のは、日本も情報収集、分析のレベルではそんなに悪くはなかったという内容です。例えば、原爆投下の動きについては事前に掴んでいたという記述です。もっともそれが原爆投下というものであったかは分からなかったようですが、米軍の無線やら爆撃機の奇妙な行動、すなわち、出撃したものの何もせずに帰るという行動が繰り返された(予行演習)とか、コードネームに今まで使われなかった記号が使われていた(原爆搭載爆撃機専用コード)などといったことは事前に掴んでいたようです。結局、アメリカが原爆実験に成功したという情報を得たのは、広島で惨事が起こった数時間後とのことで、本書が書かれた時点までもそれを後悔していたようです。 まぁ、よくある話として、墜落した米軍のパイロットがあまりに薄着なのを見て、アメリカも物資がないんだと嘲笑したというものがありますが、まさにそれですね。実際には高高度の低酸素、低気温でも耐えられる飛行機をすでに持っていたというのが事実で、せっかくの情報をムダにしてしまう典型ですね。 いまや何もしなくてもある程度の情報はネットに落ちている時代で、敵の動きが分かっているにも関わらず何もしないなんていう経営陣は、情報を有効活用できていないと言ってよいのではないかと思います。え?一般論ですよ、一般論! さて評価ですが、自伝的書物の場合は本人のバイアスがかかっている可能性が大きいので、いつもどおり、少し低めにしておきます。ただ、内容はけっこう面白いということは記しておきます。 評価:★★★☆☆+0.5