震災を考えるシリーズの2回目です。免責等については こちら をご覧ください。 2.原子力発電所のトラブルから見えてきたもの 今回の震災では地震そのものよりも津波での被害が大きくなっている。そして、もう一つの脅威として原発がある。福島第一原子力発電所での問題も報道されているとおりであるので、詳細についてはここでは省くことにする。 こういう事態が起きたときには、反対派が一気に声をあげるのは原発に限ったことではないが、そういう議論が起きることは悪いことではないと考えている。しかし、その意見でその後の世論が形成されることについては注意が必要である。もちろん、さまざまな議論の結果として原発反対の世論が形成されることに異論はない。ただし、東京電力では現在発電量の40%を原子力発電に依存しているということを忘れてはいけない。仮に今回の一件で原子力発電をやめるとしたら、なくなってしまう40%の電力をどのようにカバーするのか。CO2の排出量増加には目をつむり火力発電を増やすのか。それとも社会が日常的な停電を受け入れるのか。こういったことまで考慮する必要がある。特にタイミング悪く、4月に統一地方選挙がある。その時までにどのような世論形成がなされるかはわからないが、一時的な感情がその後の数年間を支配するということは避けなければならない(往々にして、そういうことはおきるものだが・・・) 一方で、すでにある現実を動かしがたいがために現状に甘んじるということに対しては冷静に考える必要がある。短期的に考えれば、原子力発電に代わるものがすぐに出てくるとは考えにくいが、長期で見れば省電力技術の進展や省エネ意識の社会への浸透などによって、将来は社会全体の電力需要自体が抑制されるかもしれない。また蓄電技術の発展でその時々の状況に左右される水力や地熱などのクリーンエネルギーでも十分まかなえることができるかもしれない。現状では原子力発電はこれまでの生活を維持するためにはなくてはならないものであるが、そのような意識を何も考えずに継続するのではなく、そういった現状を前提にしたうえで、何ができるかという議論を起こすようにしなければならない。 原発をどうするかという議論は、もう少し大枠で見れば、電力依存の進んだ社会においてどのように電力を確保していくのかという議論につながるはずである。省エネ意識