本の紹介『なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践』

状況に応じた対応が必要です。

ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー『なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践』[Kindle版] 池村千秋訳、英治出版、2013年

タイトルのとおり、なぜ人は大人になると変われなくなるのか。その原因と対応を記した本です。著者は組織変革のコンサルタントとしての経験があり、それを本にしたものです。

結論としては、変われないのではなく、変わる方法を知らないということです。その方法を実践するためのワークシートも紹介されており、実践編ではどのように使うかみたいなことが書かれております。そこでは、人間の固定概念を覆すための方法が紹介されており、これは実際に職場でも使えるのではないかと思います。

結構びびっときたのは、問題に対する対処方法の中で適応に関することと技術的なことを区別している点です。すなわち、起きた事象に対して対応する技術的な解決方法を常に使っているだけでは成果に結びつきにくいということです。適応に関する問題というのがあり、それにはそれ用の対応方法を試さないといけません。例えば、転職とか配置変換で大きく環境が変わった場合、まずはその環境に慣れなければいけません。以前と同じ対処方法で解決しようとしてもできない場合、おそらく適応に関する問題であります。あるいは経験したことのないような苦難に遭遇した場合、そこからなかなか抜け出せないでいるのであれば、それは適用に関する問題かもしれません。これらの区別はいままでそれほど意識したことがなかったので、ここは収穫でした。

全般的に理論と言うよりも実践、実例が中心であるため、実際に活用したいという人にはいい内容かと思います。ここ最近、流れ的に人事に関する本を連続して読んでいるので、内容がごっちゃになっているんですが、読了後に振り返ってみて、なかなか実践的な内容だなという感想です。


評価:★★★★☆

コメント

このブログの人気の投稿

通信三田会からの誘い

2021年度慶應義塾大学卒業式。そして卒業について思うことと心境の変化

卒業式エピソードの続き