本の紹介『ピクサー流 創造するちから』

ここにもジョブズの精神は生きています。

エド・キャットムル、エイミー・ワラス『ピクサー流 創造するちから』[Kindle版] 石原薫訳、ダイヤモンド社、2014年

言わずと知れた、アニメーション映画でヒットを連発するピクサーの創業者が書いた本です。ピクサーという会社は、今でこそその存続に十分な資金を持っていますが、最初はいつなくなってもおかしくない状態であったようです。そこからどのようにして会社を大きくしてきたかということが紹介されています。

その過程でのスティーブ・ジョブズの関わりも都度紹介されています。アップルでの印象とはかなり違う感じがしますが、著者は世間一般に広められているジョブズのイメージは、実際の本人とは違う部分があると言っています。ただし、若かりし頃に他人をけなすとかいった行動があったことはそのとおりだと認めていますがw

さて、前に紹介した『How Google Works』でもそうでしたが、事業や働き方に対して一貫した姿勢が読み取れます。そしてそれを常に改善していくことで会社が成長してきたということですね。

意外なのは、実際のところどうなのかは不明ですが、ピクサー、Googleともに人材の確保、育成には信念を持っているところです。Google同様、ピクサーでも自分より優れている人材の獲得に躊躇するなという方針があります。その他、トイ・ストーリーのヒット後に会社を大きくする過程で、映画の成功と引き替えに社員の生活や健康を脅かしてしまった反省を踏まえて、社員を大事にする文化を作っていたりします。アメリカ企業は人には冷たい印象があるのですが、そうでもないのかなという印象です。

一方で終身雇用を前提とする日本企業の方が、表向きは社員を大事にしているように見えてひどい仕打ちをしていることもよくありますからね。その辺はなかなか判断が難しいところです。

余談ですが、私は下手に終身雇用で縛り付けるよりも、流動性高めたほうが社員にとってもハッピーなんじゃないかと思います。若い企業は比較的流動性は高いと思いますが、大企業は必ずしもそうとは言えないですし、それで失われている才能はかなりあると思います。一方でどうにも使えない才能も温存されていたりしますが・・・

その他、映画製作におけるエピソードや新しいアイデアを出すための仕組みなどが紹介されています。会社組織に関してモヤモヤしているところがあるのであれば、ヒントが見つかるかもしれません。


評価:★★★★☆

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