本の紹介『イノベーターズ』

当たり前のように使っているコンピュータにも歴史ありです。

ウォルター・アイザックソン 『イノベーターズⅠ・Ⅱ』 井口耕二訳、講談社、2019年

コンピュータやインターネットそのもの、そしてそのサービスに関する先駆者を取り上げた本です。著者はウォルター・アイザックソンで、本ブログでも取り上げたジョブズの本やダ・ヴィンチの本を手掛けた人です。

1800年代初頭に計算機の基礎を作ったとしてラブレス伯爵夫人エイダさんの紹介から始まります。そこから電子計算機のプログラム、チップなどが登場する歴史を丹念に調べて書き記しています。コンピュータが進化する過程のキーマンが次々に登場。第二次大戦中、判読不能とも言われたドイツの暗号を読み解いたアラン・チューリングや、ガレージ企業の魁であるヒューレットパッカード、アップルのジョブズ、マイクロソフトのゲイツなどの聞いた名前も出てきますので、コンピュータ好きな人にはたまらない内容ではないかと思います。

この本を読んで意外に感じたのは、上述のエイダさんも含めて、女性が重要な立ち位置にいるということです。戦後のアメリカでプログラマーといえば女性の職業だったというのはかなりの驚きでした。時代背景もありますが、プログラムなど男のやる仕事ではないというのがあったようで、主に女性が携わっていたらしいのですが、それにしても意外でしたね。

ところで、コンピュータプログラムのバグという言葉がありますが、この言葉の語源が紹介されていてなかなか面白かったです。すなわち、ある夜にコンピュータが動かなくなって見に行ったところ、歯車のところに巨大な蛾(バグ)が挟まっていたために止まっていたそうです。そしてそれを取り除いたら(デバッグ)また動き出した、と。つまり、リアルな虫とそれを取り除いたというエピソードから出てきた言葉なんですね。諸説ありそうですが、これは面白かったです。

上下巻でそれなりの長さがありますが、ぜひ巣ごもりのお供にどうぞ。

評価:★★★★★

コメント

このブログの人気の投稿

通信三田会からの誘い

2021年度慶應義塾大学卒業式。そして卒業について思うことと心境の変化

卒業式エピソードの続き