本の紹介『ジョナサン・アイブ』

アルミニウムの発音でいつもジョブズに馬鹿にされてました。

リーアンダー・ケイニー『ジョナサン・アイブ』関美和 訳、日経BP社、2014年

アイブはジョブズのもとで多くのアップル製品をデザインしてヒットさせてきた人物です。ジョブズが家族以外で心を開いた数少ない人物のひとりで、その臨終の際に家族以外で唯一、看取ったとされています。いまはハードウェアだけではなく、OSなども含めた全体のデザインを担当する上級副社長です。

ジョブズとアイブのコンビで有名なのは、初代iMacですね。半透明のボディーが話題になりました。私は当時はソニー派でしたので、まったく相手にしてなかった記憶があります。まずMac OSってなんだよから始まり、今の妻が発売当初に購入していたので触ってみましたが、フロッピーディスクドライブ(懐かしい!)がないとか、マウスの形が変だとかこき下ろしておりました。それが今ではすっかり身の回りはアップル製品ばかりになってしまったのですから、自分の先見性のなさに呆れるばかりです。

さて、アイブは学生時代からその頭角を現していたようで、来るべくしてアップルに来たんだなということはこの本で初めて知りました。彼が若い頃にデザインしたものの写真がいくつか紹介されていますが、素人目に見ても斬新で今のアップル製品につながる要素が多く見られます。

また、売上などデザイン以外の部分には関心がない一方で、同僚を非常に大事にするという一面もあり、なかなかの職人肌なのかという印象も受けました。

本人はメディアに出ることを嫌っていますので、この本も本人と親しい人物とのインタビューなどから構成されています。ジョブズ同様、本人から話を聞く機会は限られていると思いますが、著者はアップル関係の情報を豊富に持つジャーナリストですので、できたんではないかなと。その点でマイナス評価としました。

なお、冒頭のアルミニウムの発音の件ですが、ジョブズは何年も付き合いがあるのに、いつでもアルミニウムの発音が変だと笑っていたそうです。アイブはイギリス人というのもあるかもしれませんね。その件については、ジョブズ追悼イベントのアイブの挨拶でも触れられており、アップルの公式サイトでも見ることができますので、お暇ならどうぞ。

評価:★★★☆☆

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