本の紹介『アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか』

友達だと思っていた・・・

フレッド・ボーゲルスタイン『アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか』依田 卓巳訳、新潮社、2013年

いまやスマホの世界を牛耳る2社の争いについて書かれた本です。AndroidのグーグルとiOSのアップル。単純にシェアを2分していると言ってしまえば簡単ですが、その中身はまさに対照的です。

アップルは言わずと知れた「クローズ」な戦略を採用しています。自分でソフトウェアもハードウェアも手掛けており、他社にその知的財産を解放していません。

一方、グーグルは「オープン」戦略です。Androidは誰でも使用可能です。実際にAndroid搭載スマホは世界各国の各社から出ております。グーグル検索はPCでも無料で使えます。といったように、対照的です。

実は、アップル創業者のジョブズとグーグル創業者のブリン、ペイジは言ってしまえば師弟関係です。ともに起業家で、ジョブズと言えばPCおたくの憧れでもあるわけですから、会社経営のことなどについていろいろと相談していた間柄でした。そんな感じですから、グーグル社内でAndroidの開発が進んでいたことにブリンとペイジはいい印象を持ってなかったようですね。

しかし、事業としての成功が見えてきてしまった。となれば、開発を妨害する理由がありません。2人を信じていたジョブズはかなり傷ついたようですね。そこで冒頭の言葉が出てくるわけです。

そんでもって、アップルは標準で入れていたグーグルのアプリを外し始めました。特に有名なのがマップですね。iOSのデフォルトはグーグルマップでしたが、iOS6から自前のマップに切り替えました。ところが、それが大不評。結果的にグーグルマップをダウンロードできるようにしたという経緯があります。

グーグルとしても検索結果に出す広告で稼いでいる企業ですから、iPhoneの検索がデフォルトでグーグルの検索であることには大きなメリットがあります。というわけで、現在は商売敵でありながら相互に依存するというアンビバレントな関係になっています。

私はアップル派なので、パソコンもスマホもタブレットも全てアップルで、そのエコシステムに組み込まれているため、もはやチェンジする動機がありません。なので、Android搭載端末には興味がなかったのですが、最近は業務で検証に使うことがあるので触っていますが、昔に比べてよくなってきたという印象です。特にgmailの使い勝手はiPhone版よりもいいですね。

でも、メールだってカレンダーだって音楽だって全部アップルに依存してますから、このまま突き進むしかありません。浮気はいけません。

なかなか面白い内容ではありましたが、アップル側の関係者のインタビューが少なかったこともあり、そこでひとつ減点とします。とは言え、アップルがらみの本はひととおり読んでますから、改めて書かれなくても分かると言えば分かりますが・・・

評価:★★★☆☆

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