本の紹介『予想どおりに不合理』

なぜその選択なのか。

ダン・アリエリー『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』 [Kindle版] 熊谷淳子訳、早川書房、2013年

行動経済学の本です。細かい理論の説明はほとんどなく、研究途中の事例が多く紹介されています。初心者でも読みやすい構成です。

なんでそうなの?ということが生活の中でよくあると思います。それをいろんな仕掛けをしながら解明しています。例えば、レストランに複数人で行った時、最初にオーダーした人の選択に引きずられるといったことについての調査では、通常の声によるオーダーと各人が他の人から見えないように紙に書いたオーダーを比較し、どちらの方法が各人の満足度が高いかということを比較しています(高いのは後者)。

その他、大学の寮の冷蔵庫に缶コーラを入れておくとすぐになくなるのに(誰かが勝手に持って行ってしまう)、1ドル紙幣を置いてもなくならないのはなぜか。引っ越しの手伝いをタダで頼まれると快諾するのに、手数料をもらうと嫌な気分になるのはなぜか、など。

これまでの経済学の合理的選択について疑義を呈するというのが行動経済学のレゾンデートルなわけですが、それを証明するような事例が数多く紹介されています。あまり理論的な説明があるわけではないので初心者向けと言えますが、逆に言えば中級者以上には物足りない内容とも言えます。

しかし、事例の面白さがありますので、星4つとします。


評価:★★★★☆

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