本の紹介『多数決を疑う』

かつてスクーリングでお世話になった坂井先生の本です。

坂井豊貴 『多数決を疑う 社会的選択理論とは何か』[Kindle版] 岩波書店, 2015年

何か面白そうな本がないかと探していて見つけた本です。著者は夜間スクーリングでお世話になった坂井先生です。その講義以来、メカニズムデザイン、社会的選択理論に関する基礎の本は読んでおり、2冊目の入門本です。

スクーリング当時にこの分野からノーベル経済学賞の受賞が出たこともあり、興味を持って受講したことを覚えています。

この分野は、著者も述べていますが、非常に高度な数学的テクニックが必要で、中級者向けレベルでもちんぷんかんぷんです。よって、本書ではあえて数式を使わず説明することを試みています。そういった意味では分かりやすいですが、反面、それ以上のものは得られませんので、著者もジレンマじゃないかと思います。

多数決は民主的というイメージがありますが、実はまったくそうではなく他にもっと民意を反映できる仕組みがあるというのは、仕事でも活かせそうです。

なんとなく中途半端な感じで終わってしまった感もあり、上述のとおり、著者のジレンマが結果として出てしまったとも言えます。ただ、第一歩の本としては十分です。

評価:★★★☆☆

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