多数決を疑ってみた

先日、坂井先生の本を紹介しました。

本の紹介『多数決を疑う』

坂井先生によると、多数決は決して民主的な決定プロセスとは言えないとのことでしたが、現実に起きた事件でそれを実感しております。皆さんご存じのセブン&アイ・ホールディングスの社長指名のドタバタです。

鈴木会長引退を招いた「人事案否決」の舞台裏

今回は過半数を超えないと成立しないという条件付きであったので、賛成が最多数ではありましたが案は否決されたという次第です。この過半数という規定が単純な多数決に頼らない決定方法にしたわけですが、その条件がなければ、賛成多数で可決という結果でした。よって、白票2票が結果を違うものにしたわけです。

この2票が賛成に投じられていたら、文句なしに可決。それぞれ1票ずつでも可決。2票とも反対に投じられていたら、否決。まさしくキャスティングボートを握る2票だったと言えるでしょう。そして白票を入れるという決断した取締役2名、あるいはそうするように根回しした人たち、特に反対派の伊藤社外取締役により無記名投票が提案されなければこの結果にならなかったかもしれず、彼らには快哉を叫ぶ結果と言えるでしょう。全部を取る必要はない。勝つに足る分だけ取ればよい。まさしく坂井先生の指摘どおりとなりました。

その他、会社法にも関わることでも参考になります。

セブン&アイ、わずか2人の「社外」取締役が社長人事を決める異常さ…極めて危険

この記事では社外取締役に否定的ですが、少数だろうとなんだろうと、その影響力を行使している時点で形骸化していないという見方もできます。会社法の教科書でも、指名委員会については懐疑的な書き方でしたが、こういった事例を重ねて実態にあったものにしていけばいいのではないかと思う次第です

ちなみに、会社法の再提出レポートが社外取締役に関する内容なので、これは参考になりそうです。

それでは。


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