2016年7月7日木曜日

本の紹介『デジタル・ジャーナリズムは稼げるか』

個人的には非常に大きな問題です。

ジェフ・ジャービス 『デジタル・ジャーナリズムは稼げるか 〜メディアの未来戦略〜』[Kindle版] 夏目大訳、東洋経済新報社、2016年

著者は現在、ニューヨーク市立大学大学院ジャーナリズム学科の教授です。メディア事業、ジャーナリズムの未来に関する論客として注目を集めているそうです。もともと自分の業務に深く関係してくるところでもあり、大変興味を持って読むことができました。

デジタル・ジャーナリズム、例えば、新聞や雑誌のウェブ版を思い浮かべてもらえれば分かりやすいかと思いますが、現時点では収益を上げられているところは少ないといった状況です。アメリカでいえばニューヨーク・タイムス、ウォールストリート・ジャーナル、フィナンシャル・タイムズ、日本だったら日本経済新聞社くらいのものでしょう。しかし、新聞や雑誌は発行部数が大きく落ち込んでおり、ネットへのシフトはいずれ避けられません。

私の付き合いのある新聞社や出版社の皆さんが口を揃えてそう言いますし、そのために努力をしているのは知っております。一方で、スマートニュースやグノシーといったいわゆるキュレーション系のサービスには怒りを露わにするなど(要は他人が作ったニュースで好き勝手やってる、ということのようですが)、まだどうしたらいいのか迷っている状況ではないかと思います。

著者が述べるように、マス向けの大量消費のコンテンツはすでに無意味になっているということを考えると、新たな仕組みを作り出さないことにはどうにもなりません。キュレーションが新たな仕組みであるならば、そこに苦情を言うのではなくて取り込むといった方向性が求められます。キュレーションでは個別に最適化した構成も可能ですし、そこにどう向き合うかはメディア側の覚悟が必要でしょう。

またインターネットによって、参加型のコンテンツ作りが可能になります。コミュニティの利益になることをするというのがジャーナリズムの役割のひとつと著者は考えているので、デジタルへの移行がこれに貢献できるといった期待感も感じられます。

この業界自体、私が関わっているということもあり、非常に参考になりました。これはネットメディア関係者必読指定といたします。

評価:★★★★☆

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